■リレンザについて
今市場で出回っている抗インフルエンザ薬といえば、
中外製薬から販売されているタミフルと、グラクソ・スミスクライン(GSK)が売り出しているリレンザです。

どちらも発症から48時間以内に投与すれば、A型・B型双方のインフルエンザに効果があります。

タミフルは昨年までは異常行動で話題になり、今年に入ってからはタミフル耐性のインフルエンザウイルスの出現が報道されました。
尤も異常行動に関しては、機序不明である事、またタミフルの服用前にも異常行動を起こした患者の存在や、異常行動を起こした時期が高熱期であった、というデータも報告されている事から、薬のせいではなくインフルエンザの高熱によるものではないか、という専門家の意見もあります。
それはともかく、こうしてタミフルがメディアに取り沙汰される毎に、実際の医療現場では当然の様にタミフルが処方される事は減っていき、逆にリレンザの処方が増えています。
ではこのリレンザはどんな薬なのでしょうか?

リレンザは、おそらく多くの人には馴染みの薄い吸入型の抗インフルエンザ薬です。
吸入薬とは、内服薬のように水と一緒に薬を飲むのではなく、文字通り薬の粉を吸う方法です。専用の吸入器に薬の入ったブリスターと呼ばれるシートをセットし、吸入器を口に咥えて大きく息を吸い込む事で、薬が気道に届いて効果を発揮します。
インフルエンザは咳やくしゃみによる飛沫感染が主で、口や鼻を通した呼吸器系に感染します。つまり呼吸器系にインフルエンザウイルスがうじゃうじゃいる訳で、リレンザはウイルスが大量発生している部分に直行して、ウイルスが増殖するのを防いでくれる仕組みになっています。
その添付文書上における用法は、
『通常、成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入する。』
と、吸入器の準備など使う前のちょっと面倒くさい一手間の割りに、いたって簡潔。
大人に対する用量と子供に対する用量が一括りに同じ量・同じ回数になっているのです。
大人と子供では体の大きさの違いから、大抵の内服薬には成人と小児で違う投与量が定められています。主に体重で換算され、例えば同じ抗インフルエンザ薬で内服薬のタミフルでは、
『通常、成人にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間、経口投与する。
通常、幼小児にはオセルタミビルとして、1回2mg/kgを1日2回、5日間、経口投与する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。』
とあります。
成人と小児で用法・用量が一律のリレンザですが、殊体重の少ない子供に用いる場合においての安全性は確かなのでしょうか?
この件についてメーカーに問い合わせた回答は以下の通りです↓
「リレンザは局所作用を狙ったもので、気道粘膜上に届いた薬剤のみが、その部位に留まって作用します。
逆に食道を通過して消化管にまで届いたものに関しては吸収はされず、1回10mgを投与した場合の体内動態データに成人と小児の間で目立った差異は認められず、その結果小児への投与も問題ないと判断されています。」
という訳で、大人と同量でも大丈夫!との事。
ところで『小児』と一言に言っても、
実際に何歳からがリレンザを投与可能になるのでしょうか?
それはリレンザの使用法の特異性から、吸入が可能な年齢から、という事になります。実際の臨床試験データでは、5歳からのデータはあるようです。
また、以下にリレンザに関してもう1つ。
「口の中や舌に結構張り付いてる感じがするんだけど、これはいいの?」
という意見もありました。
上記の通り、リレンザは呼吸器に届いたものだけが効果を発揮します。口腔内に残ったものは飲み込んでしまい効果が無い訳ですが、これに関して調べた結果、外国のデータではありますが、リレンザ10mg吸入時の分布データがありました。
それによると、吸入後の薬剤の沈着率は、
・ブリスター内→8%
・気管 →1.2%
・肺内部 →13%
・口腔咽頭 →77.6%
となり、そもそも殆どが口内に残ってしまう仕様になっているようです。よって、口内にたくさん粉がある、と感じても、効果があるだけの薬剤はきちんと気道にまで到達していると考えていいと思われます。
以降は私見ですが、リレンザはこれまで使用法の特異性、はっきり言ってしまえば面倒臭さから、手軽に服用できるタミフルと異なり、使用を倦厭されてきたのではないかと考えられます。
そして使用数が少なかったからこそ、マスコミを喜ばせるような情報を提供する事もなく、逆に処方回数の多かったタミフルに異常行動のマイナスイメージが集中し、さらには耐性ウイルスの出現で騒がれる結果になったのではないかと思います。
今ではリレンザに関しても異常行動がある、等と警告されていますが、それが薬剤によるものなのかどうかは、タミフルと同様明確なデータはありません。
テレビで報道されると無条件に正しいと信じ込んでしまいがちですが、まずは医師や薬剤師などの身近にいる専門家の意見にも耳を傾けてみてください。
また、今の所リレンザ耐性のウイルスは臨床的に1例のみを除いて検出されていない、と言われていますが、タミフルからリレンザへと使用が切り替えられている結果、今後耐性ウイルスの出現が全くないとは言い切れません。
抗インフルエンザ薬を投与する事による完治までの期間は、薬を使わなかった場合と比べると、実は1日か2日早くなるだけだったりします。
もちろん発症中の高熱等の症状の軽減は期待できるので、高熱に耐えられるだけの体力のない、子供さんや高齢の方、持病のある方に対する使用は有益だと思います。
しかし将来耐性ウイルスの出現を防ぐためにも、高熱に耐えうるだけの体力を持つ、若く普段は健康な方は、薬を使わずに仕事を休み、たっぷり休養と栄養を摂って自然治癒に任せる事も1つの方法ではないかと思います。





